業務用照明とは

業務用照明とは、オフィス・工場・店舗・公共施設といった、業務や商業活動を行う場所で使用される照明を指します。これらの照明は、作業効率の向上や商品・空間の演出、さらにはエネルギー効率の最適化を目的として設計されています。一般家庭用照明に比べ、より高い耐久性・照度・省エネ性能が求められ、用途に応じた多様な形状や機能を持つ製品が展開されています。
工場などで用いられる照明は、「安全の確保」「生産性向上」を重視した環境構築できる性能が必要です。作業の質を高め、作業者の心身に配慮した「明るさ」や「光源特性」を備えつつ、「環境対応性能」や「省エネ性能」といった経済性も兼ね備えているのが、近年の業務用照明です。
工場・倉庫における業務用照明の導入にあたり、重視すべき選定基準をご説明させていただきます。
目次

明るさ
一般的な住宅や店舗とは異なり、天井の高い工場や倉庫では、照明機器に十分な光量が求められます。
光源から作業位置まで距離があるため、光の減衰を考慮しなければ十分な明るさが確保できません。「JIS照度基準」にありますように、場所や作業内容によって最低必要照度は規定されています。基準を下回る環境下では、安全確保が難しくなり作業ミスの発生率も高まります。
JIS照度基準:
やや荒い視作業:300ルクス
普通の視野作業:500ルクス
やや精密な視作業:750ルクス
精密な視作業:1000ルクス
業務用照明で基準以上の明るさを得るには、取り付けられる天井の高さに応じて製品選定する必要があります。
照明の明るさを表す目安として、光源から放射される光の量を表す単位「ルーメン(記号lm)」が用いられます。
参考:
天井高さ2.5m:3,000lm(直管蛍光灯40型)←家庭用
天井高さ8m:22,000lm(水銀灯400W)
天井高さ12m:41,000lm(水銀灯700W)
天井高さ15m:59,500lm(水銀灯1000W)
天井が高ければ高いほど、大光量を照射できる照明機器が必要となります。一般の家屋で使われる照明とはまったく光量の性能が異なることがわかるかと思います。

光の質
工場における照明は、ただ明るければ良いというものではありません。
適切な配置、照射の向き、照らされた生産品の色味など、考慮すべき要素が多岐にわたります。

例えば、作業者の背後から照らすような配置では、手元に影が落ちてしまいます。その結果、操作パネルの押し間違いや、寸法測定などの精密な確認作業に支障をきたす恐れがあります。手元を直接照らす光では金属性の加工品などの表面に反射され、キズのチェックといった品質確認での見逃しが発生しやすくなります。
また、足元に光が届かないような環境では、予期せぬ労働災害に結びつくかもしれません。
現場の照明環境は、空間全体が明るく影となる暗い箇所の無い状態であることが理想的だと言えます。

また、正確な色判別が求められる製品を扱う場合は光の「演色性」も考慮せねばなりません。演色性とは、光源がどれだけ太陽光に近い特性を持つかを示す指標です。演色性の低い照明環境下で見る製品の色は、太陽光のもとで見る色と大きく異なります。これでは色の重要な塗装、染色といった現場では使用できません。
従来、工場照明の主役であった水銀灯は色再現性が著しく低い光でした。昨今のLED照明は演色性も考慮された製品が多く、色の重要な現場での採用も当たり前となっています。
参考:
水銀灯:Ra40
LED照明:Ra70~98(製品によって異なる)
太陽光:Ra100
※Ra=平均演色評価数
JIS基準により規定されている作業種毎に必要とされる演色性は以下の通りとなります。
やや荒い視作業:Ra60
普通の視作業:Ra60
やや精密な視作業:Ra80
精密な視作業:Ra80
※事務作業を行う環境においては、Ra80以上の演色性の照明が推奨されます。

業務用照明において、単純な光量といった明るさだけではなく、安全性と作業性を考慮した設置数・位置・向きなど、建屋構造や生産品など環境への適応が求められます。適切な照明設計を行うことで、作業員の視認性を向上させ、事故のリスクを低減するとともに、作業効率の向上にも寄与します。

環境対応性能
昨今の温暖化の影響により、暑い夏が長くなっています。
電子機器である照明にとって、高温は故障や寿命が短くなる原因となります。
一般的に、LEDには「熱くならない」というイメージがありますが、業務用のLED照明は、多数のLEDチップを高出力で点灯させる構造のため、発光部や電源基板で大きな熱が発生します。照明内部で発生した熱は、外部へ効率よく伝道して放熱されるような設計がなされているのですが、LED照明が設置されている周辺環境の温度が高い場合、放熱が上手くいかず熱がこもることで内部部品の故障を引き起こす可能性があるとされています。

作業員のいる地上の気温が40℃近い場合、照明の取り付けられている天井付近は70℃もの高温となっている場合があります。従来のLED照明は耐熱温度40℃程度で設計されており、現在においても多くは耐熱50℃の製品が一般的です。それら旧型のLED照明は現在の長期に渡り高温が続く夏季による熱ダメージに耐えきれません。
短期間での故障を避けるには、耐熱性能の高い照明を選択するのが良いでしょう。

省エネ性能
原油高や為替の影響により、電気料金の高騰が続いています。
従来の水銀灯や旧型のLED照明を使い続けることは、経費負担の増大につながります。

最新型のLED照明を導入すれば、同じ明るさの水銀灯と比較して電気使用量を80%も削減することが可能です。また、水俣条約により水銀灯の製造は2021年で終了しており、現在は流通在庫品のみが入手可能な状況です。
すでにLED照明を導入済みであっても、5年以上前のものであれば、現行製品ほどの節電効果は得られません。ここ数年でLEDの性能は飛躍的に向上しており、消費電力は当時の約半分まで抑えられています。

電気の使用量を削減できるだけではなく、最新のLED照明は水銀灯と比べて5倍も長寿命です。工事に係る業者の手配や生産停止計画といった管理担当者の負担が減ることにも繋がります。
また、電源投入から明るくなるまで5分掛かる水銀灯と比べ、最新のLED照明は一瞬で全光束に到達します。これにより、常時明るくする必要のないエリアの消灯を気軽に行え、さらなる節電も可能です。
大幅に下がる電気使用量とランプ交換費用の削減により、早期の投資回収が可能です。